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2月27日串本町で現地学習会が開催されました

 2月27日(土)13時30分から串本町文化センターで、現地学習会「歴史から学ぶ防災2015―災害の記憶を未来に伝える―」が開催され、串本町をはじめ65人の参加がありました。

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 まず、主催者を代表して当館の苗代副館長が開会の挨拶を行いました。

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 続いて、5人の方々に報告を行っていただきました。
 太地町歴史資料室学芸員の櫻井敬人さんの「背美流れ:明治11年太地鯨組の海難」の報告では、太地で地震津波ともに強く記憶されている明治11年(1878)12月24日の「背美(せみ)流れ」について、まず当館所蔵の「熊野捕鯨図屏風」をもとに、太地周辺の江戸時代の捕鯨業についての解説がありました。その上で、和田金右衛門頼芳が書き残した「背美流れの控え」を現代語訳して、海難の様子について、詳しく説明がありました。事故直後から、太地の人たちへの支援活動も行われていました。太地町では、この「背美流れ」の記憶を後世に伝えるため、太地の海がよく見える妙法山に登り、実際の海を見ながら、古式捕鯨や「背美流れ」を学習していることが紹介されました。

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 串本古座高校教諭の田原敬治さんの「橋杭岩の津波石とジオパークでの利用法」の報告では、まずジオパークとは何か。ジオパーク活動とは具体的にどのような活動であるかを説明していただきました。続いて、串本町の橋杭岩の内側に点在する津波石に注目し、津波が津波石を押し流すほどの巨大なエネルギーをもっていることを知るために、具体的に津波石を観察し、実感させる取り組みが串本古座高校で行われていることが紹介されました。こうして生徒たちに津波のメカニズムやエネルギーなど理解させたうえで、津波から身を守る能力を涵養させることが必要であるとされました。

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 神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター研究員の木村修二さんの「棟札に記された地震津波の記憶」の報告では、無量寺にある本堂再建棟札と木葉神社にある鳥居再建棟札について、制作された時期やその背景について紹介され、現代の人にもわかりやすいように現代語訳が提示されました。そのうえで、災害の記憶が、木の板に記された意味について述べられ、最後に、串本地域における東海・東南海、南海地震の被害の特徴についての説明も行われました。

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 歴史資料保全ネット・わかやま会員の砂川佳子さんの「有田浦を襲った安政の地震と津波」の報告では、まず嘉永7年(1854)11月4日・5日に起こった安政地震津波の概要と江戸時代の有田浦についての説明がありました。有田浦には、安政地震津波に関する記録が2種類あり、この2つの記録について、現地調査を踏まえたうえで、具体的な津波の来襲状況などの分析結果が示されました。最後に、有田浦には、津波の記録が複数あること。過去にそれを分析した郷土史家が存在したこと。過去の災害の記憶を学ぶということが地域全体の問題・取り組みとして認識されていること、などが指摘されました。

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 和歌山県教育庁文化遺産課副主査の三本周作さんの「有田・正覚寺の地蔵菩薩像について」の報告では、まず正覚寺(浄土宗)の歴史を簡単に説明し、本堂に安置された地蔵菩薩像について、形状、品質・構造を詳しく説明し、その特徴から制作年代について、色々な作例を参考にしながら解説されました。そのうえで、この地蔵菩薩像と紀州における浄土宗の展開との関わりを考えていく必要性があるとされました。最後に、地域に残された文化財は、歴史の生き証人であり、文化財を守る重要性が述べられました。

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 ロビーでは、田原さんが持ってきてくれた小さな「津波石」が展示され、実物をみながらお話いただきました。

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 閉会後、希望者を募って行われたワークショップでは、近大姫路大学人文学・人権教育研究所准教授の松下正和さんの司会のもとで、まず今回の学習会の感想をお聞きしました。そして、ハザードマップを見ながら居住地での防災の取り組みなどについて、意見交換をしました。

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 串本町、串本町教育委員会、太地町、太地町教育委員会のご協力も得て、盛況のうち終わることができましたこと、心からお礼申しあげます。

(主任学芸員 前田正明)

災害記念碑一覧
和歌山県立博物館ウェブサイト
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