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コラム 紀州の画家紹介 29 鎌田景麟(かまたけいりん)

企画展「江戸時代の紀州の画家たち」の関連コラム
「紀州の画家紹介」
29回目にご紹介するのは、鎌田景麟(かまたけいりん)です。


鎌田景麟(かまた・けいりん)

◆生 年:文化5年(1808)

◆没 年:元治元年(1864)5月25日

◆享 年:57歳

◆家 系:和歌山城下の北の新地の茶屋の主人

◆出身地:紀伊

◆活躍地:紀伊

◆師 匠:松村景文(まつむらけいぶん、1779~1843)

◆門 人:未詳

◆流 派:四条派

◆画 題:花鳥・山水

◆別 名:惣平・方至・子炳・葛嶠・北島など

◆経 歴:町人、画家。未詳な点も多いが、和歌山城下の北の新地で茶屋(青楼)を経営した主人。絵をよくし、京都の四条派の画家である松村景文に師事した。景文門下の中でも優れた画家であったらしく、大坂の四条派の画家である西山芳園(にしやまほうえん、1804~67)などと並び称されたという。茶屋を営んでいたことから、幕末の志士とも親交があったようで、大坂の会合へ行った際、友人の宮本某とともに刺客に襲われて殺害されたとも伝えられる。絵は、景文の画風をよく継承し、特に花鳥画を得意としたが、それゆえ景麟の没後に款記を景文に書き変えられ、景文の贋作にして売られたものも多かったようだ。嵐山などを描いた瀟洒な山水図も残る。

◆代表作:「花鳥図(かちょうず)」(和歌山県立博物館蔵)嘉永3年(1850)、「春景山水図(しゅんけいさんすいず)」(和歌山県立博物館蔵)など


今回展示しているのは、「花鳥図」(和歌山県立博物館蔵)です。
鎌田景麟筆 「花鳥図」 (和歌山県立博物館蔵) 軽
(以下、いずれも画像をクリックすると拡大します)
鎌田景麟筆 「花鳥図」 左幅 (和歌山県立博物館蔵) 軽     鎌田景麟筆 「花鳥図」 右幅 (和歌山県立博物館蔵) 軽

鎌田景麟筆 「花鳥図」 左幅 款記 (和歌山県立博物館蔵) 軽           鎌田景麟筆 「花鳥図」 右幅 款記 (和歌山県立博物館蔵) 軽
鎌田景麟筆 「花鳥図」 左幅 印章1 (和歌山県立博物館蔵) 軽 鎌田景麟筆 「花鳥図」 左幅 印章2 (和歌山県立博物館蔵) 軽    鎌田景麟筆 「花鳥図」 右幅 印章1 (和歌山県立博物館蔵) 軽 鎌田景麟筆 「花鳥図」 右幅 印章2 (和歌山県立博物館蔵) 軽
款記は左幅が「景麟筆」、右幅が「庚戌春/景麟」で、印章はいずれも「景麐」(白文方印)、「字士昭」(朱文方印)です。

2幅対の絵で、左幅には芙蓉(ふよう)と鶉(うずら)を描き、右幅には岩・文鳥・牡丹(ぼたん)を描いています。全体に柔らかな筆致による花や鳥の描写には、景文の影響が顕著にうかがえますが、牡丹の花のやや硬い描写や鮮やかなピンク色の彩色などには、より華やかで装飾的な側面も見て取れます。

こうした華麗な絵を描いた景麟ですが、幕末の志士と親交を深めたため、大坂で刺客に暗殺されたとも伝えられる人物です。残された絵からだけではわからない、画家たちのさまざまな主義や思想も、画家たちの生き方や当時の時代を知るうえで重要な情報ともいえます。画家たちの人生や生き方を通して絵を見てみることも、こうした古い時代の絵を理解する一つの鑑賞方法かもしれません。(学芸員 安永拓世)

江戸時代の紀州の画家たち
和歌山県立博物館ウェブサイト
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[C253] FROM 月琴弾き

東京で月琴と言う古い楽器の研究をしております。少し前に「小野東谷」という作家名のある楽器を修理しまして,その作者を探る過程で次のような記事を見つけました。『美術画報』七編巻五(1900年6月5日)
小野東谷
紀州西牟婁郡芳養村に生る。幼より画を鎌田景麟に学び,後ち指物及び彫刻の技を竹谷に学び,専ら斯業に従事す。現時,大阪市南区生魂神社南門前に住す。此作芝山風に類似すれども大に其趣を異にし,自ら雅致あるを覚ふ。

おもに指物彫刻の分野で活躍した人のようです,絵の方は発見できてませんが,鎌田景麟の弟子とあります。もし東谷について何か情報ございますればご教授願います。

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