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コラム 紀州の画家紹介 5 真砂幽泉(まなごゆうせん)

企画展「江戸時代の紀州の画家たち」の関連コラム
「紀州の画家紹介」
5回目にご紹介するのは、真砂幽泉(まなごゆうせん)です。

真砂幽泉(まなご・ゆうせん)

◆生 年:明和7年(1770)12月5日

◆没 年:天保6年(1835)10月17日

◆享 年:66歳

◆家 系:紀伊国牟婁郡三栖(むろぐんみす、現在の和歌山県田辺市三栖)の大庄屋である真砂新左衛門友頴(まなごしんざえもんともさと、1746~76)の長男

◆出身地:紀伊

◆活躍地:紀伊・京都

◆師 匠:鶴沢探索(つるさわたんさく、1729~97)・鶴沢探泉(つるさわたんせん、?~1816)

◆門 人:木下幽山(きのしたゆうざん、生没年未詳)?

◆流 派:狩野派(京狩野・鶴沢派)

◆画 題:人物・花鳥・走獣など

◆別 名:友親・紋之助・順蔵・順助・新助・元右衛門・富右衛門・幸右衛門・雪洞斎・古松斎

◆経 歴:大庄屋、画家。寛政元年(1798)、「親代番」となる。寛政6年(1794)、紀伊藩10代藩主の徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)が熊野へ来た際、芳養下村で御目見を果たす。寛政一〇年(一七九八)、紀伊藩家老の小守十之右衛門(こもりじゅうのうえもん)から絵師を仰せつけられるが辞退。享和3年(1803)、家業の三栖組大庄屋本役を継ぐ。文化3年(1806)、「地士」となる。文化4年(1807)、京都で鶴沢探泉の絵を模写。文化5年(1808)と文化9年(1812)、紀伊藩田辺領主の安藤家代替の御礼のため和歌山へ行く。文化10年(1813)、紀伊藩8代藩主の徳川重倫(とくがわしげのり、1746~1829)のために、「布袋・竜田川・人物山水図」などを描く。文政元年(1818)、重倫の奥女中より西方寺を通して是徳上人の肖像画などの制作を依頼される。文政6年(1823)、朝来組(あっそぐみ)大庄屋を兼務し、熨斗目(のしめ)の着用を許される。文政7年(1824)、朝来組大庄屋の兼務を外れる。文政8年(1825)、紀伊藩11代藩主の徳川斉順(とくがわなりゆき、1801~46)に御目見を果たす。天保2年(1831)、三栖組大庄屋を隠居し、「御画師御用人支配」となる。天保4年(1833)、安藤家子女と加納大隅守の縁組みに際し、「松竹梅図屏風」を描く。同年、治宝に「鶴・雪中梅・寿老人」の絵を献上し、西浜御殿で治宝から南紀男山焼(なんきおとこやまやき)の花入などを拝領。

◆代表作:義譲(ぎじょう、1771~1837)賛「鷹図(たかず)」(個人蔵)文政5年(1822)、仁井田好古(にいだよしふる、1770~1848)賛「三聖図(さんせいず)」(個人蔵)天保4年(1833)、「普大寺障壁画(ふだいじしょうへきが)」(普大寺蔵)など


今回展示している真砂幽泉の作品は、二つあり、一つは代表作の義譲(ぎじょう)賛「鷹図」(個人蔵)です。
真砂幽泉筆 義譲賛 「鷹図」 (個人蔵) 軽
(以下、いずれも画像をクリックすると拡大します)
真砂幽泉筆 義譲賛 「鷹図」 款記 (個人蔵) 軽 真砂幽泉筆 義譲賛 「鷹図」 印章 (個人蔵) 軽
款記は「古松斎幽泉画」で、印章は「真幽泉印」(白文回文方印)です。

この絵は、幽泉が鷹の絵を描き、和歌山県田辺の高山寺(こうざんじ)の住職である義譲(ぎじょう、1771~1837)が、文政5年(1822)に上部へ賛を書いたものです。
真砂幽泉筆 義譲賛 「鷹図」 義譲賛部分 (個人蔵) 軽
鷹の鋭いまなざしや、羽毛の的確な筆致もみどころですが、この義譲の賛から、幽泉の鷹の絵が文政5年(1822)幽泉53歳以前に描いたことがわかる点でも重要です。

一方、もう一つ展示している作品は、「七福神図」(和歌山県立博物館蔵)です。
真砂幽泉筆 「七福神図」 (和歌山県立博物館蔵) 軽

真砂幽泉筆 「七福神図」 印章1 (和歌山県立博物館蔵) 軽 真砂幽泉筆 「七福神図」 印章2 (和歌山県立博物館蔵) 軽
款記は無く、印章は、上が「雪洞斎」(白文方印)、下が「友親」(朱文方印)です。

こちらは、先ほどの鷹図とは一転、軽妙で楽しそうな七福神の表情が魅力的な作品です。
幽泉は、どうやら、ちょっとしたユーモアのあるかわいらしい人物や動物の描写を得意としたようで、
ユーモラスな龍や虎を描いた作例をいくつか残しています。

このように、それぞれの画家の表現の特徴なども、その画家を知るひとつの手がかりになります。
さまざまな画家の表現に注目し、その違いや特徴的な表現などを見つけてみるのも、絵を見る楽しみの一つといえるでしょう。(学芸員 安永拓世)

江戸時代の紀州の画家たち
和歌山県立博物館ウェブサイト
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