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乾武俊氏の略歴

乾武俊(いぬいたけとし)氏の略歴

 大正10年(1921)、和歌山市生まれ。戦時中に和歌山県立日高中学校で初めて教壇に立ち、終戦後は和歌山市内の中学校に務めながら、詩人として活動し、第一詩集『面』(東門書房、1952)、第二詩集『鉄橋』(日本未来派発行所、1955)を上梓している。
 昭和34年(1959)、大阪に居を移し、中学校教員として同和教育に深く関わる中で、被差別地域における民話や伝承の聞き取りを積極的に行った。この間、『詩とドキュメンタリィ』(思潮社、1962)、『民話教材と同和教育』(明治図書、1972)を出版。
 その後、大阪府教育委員会指導主事、和泉市教育次長、和泉市立光明台中学校長を歴任、退職後は、大阪府教育委員会などによる大阪府下の民俗調査に参加し、また大阪教育大学の非常勤講師を勤めた。また大阪芸術大学映像学科との連携で『信太山盆踊り』(1984)など盆踊りの記録を映像作品として残し、また『伝承文化と同和教育―むこうに見えるは親の家』(明石書店、1988)、『民俗文化の深層―被差別部落の伝承を訪ねて』(解放出版社、1995)を出版し、伝承や芸能の「うたい」や「かたり」、あるいは身振りから、継承されてきた民衆の記憶の深層を浮かび上がらせる研究活動を続けている。
 乾氏の第一詩集『面』に所収される表題作「面」は、東京高等師範学校在学中の詩で、「その面を売ってくれませんか」という印象的なフレーズを繰り返しながら、愛する人との出会いと別れを、仮面に感情を投影しつつ語る。詩人・乾武俊の、仮面に対する特別なまなざしは、その後、本来あった場所から散逸していく民間仮面の収集に結びついた。
 乾氏が収集した仮面をもとに構築された仮面論は、『黒い翁―民間仮面のフォークロア―』(解放出版社、1999)、『能面以前―その基層への往還―』(私家版、2012)へと結実し、また収集仮面の一部は大阪人権博物館の企画展「神・鬼・道化―乾武俊がみた仮面世界―」として、2001年に公開されている。
 また自選著作集(私家版)として、『「くどきの系譜」序説(第一巻)』(2003)、『被差別民衆の伝承文化(第二巻)』(2004)、『「仮面」と「舞台」(第三巻)』(2007)、『被差別部落の民俗伝承(別冊)』(2008)を上梓している。

企画展「仮面の諸相-乾武俊氏の収集資料から-」
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