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地獄の話 ―熊野観心十界曼荼羅②―

前のコラムに続いて、
熊野観心十界曼荼羅に描かれている地獄について、紹介しましょう。

まず、熊野観心十界曼荼羅という名前について。
「観心」とは自分の心のなかをよく観察すること、
「十界」とは、迷いと悟りの世界を十種に分けたもののことです。
この絵のなかには、悟りの世界である仏界・菩薩界・声聞界・縁覚界と、
迷いの世界である人界・天上界・修羅界・餓鬼界・畜生界・地獄界があり、
その様子も描かれています。

修羅界   餓鬼界
(修羅界)                        (餓鬼界)

熊野観心十界曼荼羅の上部には、老いの坂といって、
人が生まれてから亡くなるまでの道のりが描かれています。

老いの坂(生まれ)  老いの坂(老い)  老いの坂(死)

この絵で今、自分が人生のどこら辺に位置し、
また自分の亡くなる時期、地獄への距離を感じたのでしょう。


絵の下の方には、見るも恐ろしい地獄の風景がたくさん描かれています。

針の山   衆合地獄
(針の山)                       (衆合地獄)
  
血の池地獄  両婦地獄 
(血の池地獄)                    (両婦地獄) 

刀葉林  不産女地獄
(刀葉林)                (不産女地獄)

生前の行いにより、このような地獄に落ちてしまうというのです。
しかし、一方で、救いもありました。

如意輪観音の救済  三途の川
(如意輪観音の救済)               (地蔵の救済、橋の下には三途の川)

このように、地獄の恐ろしさを強調しつつも、
一方では救いの方法があることを説明することで、
聞く人達に神仏への信仰心を起こさせるような語りを
熊野比丘尼たちはしていたのです。

また地獄に落ちて苦しんでいるのが、
多くの場合、夫婦・親子(特に女性がメイン)で描かれているのも特徴的です。
自分の家族が落ちてしまう地獄を意識することで、
先祖や早くに亡くした子供を供養し、家族を大切にすることの大事さも、
この絵は語っているのです。


(学芸員 坂本亮太)
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