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和歌山県立博物館施設活性化事業(1)

 2011年8月24日、和歌山県立博物館会議室で、和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会が開催されました。
 これは、文化庁の補助事業である平成23年度文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業のうちミュージアム活性化支援事業として採択されたもので、和歌山県立博物館と和歌山県立紀伊風土記の丘のそれぞれで、施設の活性化のための事業を執り行うものです(事業費総額800万円、和歌山県博分事業費480万円)。
 会議は、マスコミのみなさんにも公開して行われ、実行委員会の組織の概要や、博物館・風土記の丘の各事業の説明を行い、委員のみなさんから意見を頂きました。年度内の事業ですので、これから約半年で、計画している事業を遂行していくことになります。 
 この実行委員会による事業のうち、和歌山県立博物館で行う事業につきまして、これからも逐次進行状況を報告していきたいと思います。
 まず初めに、和歌山県博の事業概要についてご報告します。

テーマ:さわれる資料を活用した博物館のユニバーサルデザイン化事業
 和歌山県立博物館常設展示改善計画の一環として、和歌山県立和歌山工業高校と連携し、3D立体コピー技術実習として館蔵品等のレプリカを作成し、常設展示室内に設置する。あわせて活字と点字、写真図版と盛り上げ印刷を組み合わせる特殊印刷技術を用いて、視覚障害者が健常者とともに使える常設展図録を作成する。またLED光源を展示室内に設置して保存環境を維持しつつ照度を確保することで、弱視者を含む視覚障害者や高齢者への展示環境の改善をはかる。
 さわれる資料、さわって読むガイドブック、明るい展示室によって、視覚障害者や子ども、高齢者をはじめ、あらゆる利用者が郷土の歴史を快適に学ぶことができる博物館のユニバーサルデザイン化を促進する。なお作成したガイドブックは県内図書館ほか公共機関へも寄贈して活用を図る。

(1)さわれるレプリカの作成

 郷土の歴史に関わる文化財を、和歌山工業高校との連携により安価で耐久力のあるABS樹脂製のレプリカとして作製し、だれもがさわれる資料とする。

 このレプリカは、3次元デジタイザー(レーザーによる測量技術)を用いて非接触で資料計測したデータを、立体プリンターを用いてABS樹脂を材料に立体形成するもので、安価で丈夫な、博物館でのさわるための資料に適している。
 博物館では従来より視覚による情報の取得に大きく頼ってきた。しかしレプリカ資料を用いて、視覚だけでなく触覚でも情報を提供するることで、年齢や性別、身体障害の有無などに関係なく、あらゆる来館者が楽しく地域の歴史の魅力にふれ、文化財の大切さ、歴史を守ることの大事さを考えてもらう環境を整えることができる。特に視覚障害者においては、博物館の利用機会を増やすための重要な展示環境整備となるものと考える

(2)さわって読む図録の作成

 障害者と健常者がともに利用できるさわって読むガイドブックを作製し、視覚に障害のある方の郷土学習の機会の増加をはかる。

 このさわって読むガイドブックは、カラー印刷された文字・図版の上に特殊な透明の素材で点字や線を盛り上げて印刷し、見える人、見えない人、見えにくい人がともに使用することのできる図録である。博物館の常設展示(和歌山県の歴史を通史で紹介)の流れを解説する上で効果的な資料を選んで掲載し、図版をさわりながら、形の特徴を言葉で説明することで、資料の形をより具体的にイメージしてもらえるように作製する。
 来館者へ貸し出したり、あるいは事前学習に用いることで、特に視覚障害者に対して、博物館の常設展示の内容を分かりやすく伝えるためのガイドブックとしての効果が見込まれる。なお、本書は県立和歌山盲学校や県内公共図書館ほかにも寄贈し、あらゆる人々に活用してもらうことのできる環境を整える。

(3)展示室内の照度環境の改善

 博物館展示室内の照度環境の改善によるあらゆる人に快適な明るい博物館を実現する。

 現在和歌山県立博物館では、展示資料の保全のため展示室全体の照度を低く設定しているが、紫外線量の少ないLED光源を用いて来館者の導線を中心に展示室内の照度環境を改善する。これにより視覚障害者(特に弱視者)、高齢者、子どもをはじめとする来館者にとって活動しやすい環境を構築し、博物館のユニバーサルデザイン化を進める。

(学芸員 大河内智之)
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