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和歌祭の餅搗踊衣装の着付け実演がおこなわれました(華麗なる紀州の装い)

本日、5月8日(日)は、「華麗なる紀州の装い」展のロビー・イベントとして、

和歌祭保存会(和歌祭保存会)の方々のご協力による
和歌祭餅搗踊衣装着付け実演(わかまつりもちつきおどりいしょうきつけじつえん)がおこなわれました。

餅搗踊(もちつきおどり)とは、和歌祭の行列に登場する練り物(ねりもの)の一つです。和歌祭の成立当初、すなわち元和8年(1622)からおこなわれていた練り物ですが、寛文5年(1665)に和歌祭の規模が縮小されてからは、おこなわれなくなります。しかし、その後、寛政12年(1800)に、再興されて、再び練り物としておこなわれるようになりました。

臼(うす)のある山車(だし)で餅つきをするようなかっこうで踊る「餅手合(もちてあわせ)」や杵(きね)を持って踊る「杵踊(きねおどり)」などがあり、いずれも華やかな衣装を着ました。江戸時代には、大人が踊をおこなっていたようですが、明治時代以降は、子どもも参加するようになり、現在では、もっぱら年少の女の子が参加する練り物となっています。

現在の餅搗踊で使われている衣装の姿は、江戸時代までさかのぼるものではなく、明治時代以降のものと考えられますが、その華やかで手間のかかった飾り付けには、驚かされます。

今回は、その餅搗踊の衣装の着付けを、実際に目の前で披露してもらいました。
普段は、祭の前に、いわば舞台裏でおこなわれるこうした着付けを、じっくりと見せていただく絶好の機会です。
こうした着付けも、実は、正確な着付け方が伝えられていかないと、せっかくの華やかな衣装も正確に着ることができなくなってしまいます。
すなわち、着付けの技術も、伝えていくべき大切な文化財であるともいえます。

そうした意味から、今回の司会は、和歌山県の教育庁の文化遺産課で、和歌祭の祭礼に関するさまざまな技術や芸能についての調査をおこない、映像による技術の保存や伝承を積極的におこなっている蘇理剛志氏にお願いしました。

蘇理氏は、この餅搗踊とその衣装の着付けについても、映像で撮影し、その技術を伝える取り組みをしておられる方です。

今回は、そうした観点から、このブログでも、着付けの様子について、多くの写真を交えながら、少しくわしく紹介していきましょう。

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まずは、水色の手甲(てこう)と脚絆(きゃはん)に赤い衣を身につけた、この状態からスタートです。
赤い衣は、右袖(そで)を外に出すので、右袖のみに金糸の刺繍で文様があらわされ、
袖口には鈴がついています。

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続いて、うすい水色の衣を着ます。
今度は、左袖を外に出すので、左袖のみに、文様と鈴がついています。
この水色の衣は、右袖の部分を後ろに回して、お太鼓(おたいこ)にして包みます。

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次は前に「まわし」をつけて、

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紫の帯と、白の帯を結んで、

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2本の帯を綱のようにねじっていきます。
紫と白の綱の輪を前に二つ作ったら、

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横と後ろを整えて、ひとまずこんな感じになりました。
でも…、ここからが大変です。

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この左の写真の机の上に並んでいる、さまざまな色の帯を、襷(たすき)のようにかけて
次から次へと結んでいくのです。
まずは、うすい橙色から。左肩から右脇へと襷にかけて、

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左肩の上と、右の腋の下(わきのした)でしっかり結びます。
みなさんも、この大変そうな着付けの作業を見守っています。

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続いて赤の帯、それから白の帯、

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さらに、紫の帯、うすい水色の帯、最後にピンク色の帯。
帯を結んだ端が、裾の長さとそろうように調節しながら結びます。
この帯の結び方も、普通の蝶々結びではなく、いわゆる「たて結び」。
帯が下に長く垂れるように、「たて結び」にするそうです。

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全体の微調整をして、紫のはちまきを締めたら、

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できあがり。後ろは、こんな感じです。

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ここまでかかった時間は、約40分。
お疲れ様でした。感想をひとこと。「自分ではよくみえない…」
綺麗に着付けられていますよ。
本人も、気に入って、しばらくこれを着たまま博物館を歩いて袖の鈴の音を鳴らしていました。

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着付けはこれで終了ですが、女の子は、餅搗踊も披露してくれました。
可愛いですね。ありがとう。

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ありがとうございました。

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終了後は、撮影タイム。
ひとときの撮影会に、女の子も両手を広げて楽しそうでした。

現在は、女の子が華やかな衣装を着て踊りますが、古くは、男性が祭礼の主な担い手でしたから、古い戦前などの写真を見ると、男の子が女装をしていたようです。派手な化粧まわしなどには、そうした男性が着用した勇壮さの名残が感じられます。


ともあれ、本当に、着付ける方も、着付けられる方も1時間弱の大変な作業で、お疲れ様でした。
大人が3人がかりで1人の女の子を着付けていましたが、本番では、7~8人の女の子の着付けをおこなうそうです。
手伝う大人ももう少し増えるそうですが、それでも、着付けの戦場と化すとのこと…。

今年の和歌祭の本番は、5月15日(日)です。
ぜひ、皆さまも、本場の和歌祭へ、餅搗踊を見に行ってみてください。(学芸員 安永拓世)


特別展 華麗なる紀州の装い
和歌山県立博物館ウェブサイト

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