昨年8月25日付けの博物館ニュースで、事業の第一報(→こちら)をご紹介してから、すっかり報告を行うことを怠っておりました。スイマセンm(_ _)m。事業の柱は3本立て。①和歌山工業高校との連携で、常設展示室に設置するさわれるレプリカ資料を作製。②さわれるレプリカと連動して、さわって読む図録を作製。③常設展示室内の照度環境の改善を行い、だれもが快適にすごせる展示室にする。 まず①のレプリカ作りについて、昨年夏から...
和歌山県立和歌山工業高校の1年生2人が、1月25日(水)から27日(金)までの3日間、インターンシップに来てくれました。 博物館では、まず職員の朝礼から始まります。初日ということで、2人に挨拶してもらいました。通常は、1日の午前は「博物館」の話をするのですが、今日は企画展示替えの2日目、2人にはいきなり展示替え作業を手伝ってもらいました。まず、22日まで行われていた企画展「『はんこ』って何?」で使用した演示具やキ...
今回の「ハンコの基礎知識」は、最終回ということで、基礎知識というよりは、むしろ展示してあるハンコを楽しんで見てもらおうということで、自分なりの「好きなハンコベスト3」をつけてみてはいかがでしょう?「基礎知識」といいながら、色々と難しい説明をしてきましたが、結局、ハンコを一番楽しむ方法は、そのハンコが「好きか」「嫌いか」でしょう。今回の展示では、全部で42顆(か)56面のハンコが展示されています。「自分...
先日、ツイッターで、この博物館ニュースを見た感想として「「ハンコの歪(ゆが)みは心の歪み!」と言って、ハンコの押し方に拘(こだわ)る上司がいたな」という書き込みがありました。「ハンコのゆがみが心のゆがみ」とまでは思いませんが、今回の展覧会の準備過程で、さまざまな押されたハンコを見てみると、ハンコの押し方には、押した人の個性が、どこかしらにじみ出ているのは確かなようです。先日の博物館ニュースで、ハン...
本日、1月22日(日)は、「ハンコって何?」展の最終日です。約45年ぶりに公開中の桑山玉洲(くわやまぎょくしゅう、1746-99)が使用したハンコをはじめ、書や絵に押されたハンコややきものに押されたハンコ、さらには、江戸時代の画家たちが実際に使用したハンコなど、64件92点を展示中です。こうしたハンコを取り上げた展覧会は、当館でも、初の試みですし、全国的にも珍しいといえます。ぜひ、お見逃しなく。(学芸員 安永拓世...
本日、1月21日は、企画展「ハンコって何?」の5回目(最終回)のミュージアムトーク(展示解説)がおこなわれました。朝から少し雨模様だったこともあり、最初は参加者が3名ほどから始まりましたが、その後、人数が増えて、7名ほどになりました。トークの風景はこんな感じです。 雨の中、また、お忙しい中、トークにご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。今回の「ハンコって何?」展のミュージアムトークは...
本日、1月21日(土)は、13:30から「ハンコって何?」展の最後のミュージアムトークが開催されます。展示している資料について、展示を担当した学芸員が約1時間ほどかけて、解説をいたします。これまでの、ミュージアムトークについては、ミュージアムトーク1回目(ハンコって何?)、ミュージアムトーク2回目(ハンコって何?)、ミュージアムトーク3回目(ハンコって何?)、ミュージアムトーク4回目(ハンコって何?)をご...
県立博物館では、博物館の所蔵品を、より多くのみなさまに、広く知っていただきたいという目的から、2階に「スポット展示」というコーナーを設け、館蔵品を数点取り上げた展示を行っています。このスポット展示は、無料でご覧いただけます。 今年度は「ちょっとだけ《江戸時代》を知ろう」と題して、城下町和歌山の様子がわかる資料、藩主であった紀伊徳川家やその家臣たちにかかわる資料などから、270年ほど続いた「江戸時代」...
今回の「ハンコって何?」展の見どころの一つは、書や絵に押された印影(いんえい)としてのハンコと、実際に押す方のハンコ自体を、比較しながら見ることができる点にあります。書や絵に押された印影としてのハンコには、これまで「ハンコの基礎知識」などでご紹介してきたような、さまざまな情報が含まれており、そうした情報に基づいて、押されたハンコに名前をつけたり、区別したりすることができます。また、実際に押す方のハ...
今回は、ハンコに直接関係した内容ではありませんが、「ハンコって何?」展で展示している資料のなかに、桑山玉洲の所蔵印が押されている伊孚九(いふきゅう)という中国人画家が描いた画帖があります。この画帖については、以前、この博物館ニュースのコラム「桑山玉洲のハンコと、玉洲旧蔵の中国絵画」でもご紹介しましたが、この画帖はアルバム状になっていることから、展示では全ての画面をお見せすることができません。先日、...
今回のハンコの基礎知識は、ハンコを彫る篆刻(てんこく)とは何か?ということについて少しご紹介したいと思います。ハンコの中に使われている文字を読もうとすると、現代のわたしたちからすると、とても読みにくい文字であらわされているのに気づきます。これは、日本のハンコの文字が中国のハンコの文字の影響を強く受けているからです。中国のハンコには、篆書体(てんしょたい)という、漢字の古い書体が使われました。篆書体...
これまでの「ハンコの基礎知識」では、押されたハンコの読み方など、少し難しい内容が多かったのですが、今回は、ハンコ自体に少し注目してハンコのつまみの装飾について、ご紹介したいと思います。ハンコは、基本的には、印面を押すことが主な目的に作られたものですから、印面にどのような文字や文様をあらわすかということがメインになります。しかし、ハンコが広く普及して、江戸時代の文人たちが使用することによって、ハンコ...
本日、1月15日は、企画展「ハンコって何?」の4回目のミュージアムトーク(展示解説)がおこなわれました。今日も、寒い日でしたが、今回はいつもよりも多く、18名の方にご参加いただきました。トークの風景はこんな感じです。 ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。今回は、専門的な篆刻家(てんこくか)の先生方が、何名か参加しておられたこともあり、色々と、こちらの展示のいたらない点や、展示の間違...
これまでコラムでご紹介してきたハンコは、いずれも、書や絵や工芸の制作者、あるいは制作に深くかかわった人物が、制作された当初に押したハンコでしたが、今回のコラムでは、のちの時代に所蔵者などが押したハンコ、すなわち持ち主を示すハンコについてご紹介しましょう。ハンコは、自分が書いたものや作ったものの証明として押されるだけでなく、持ち主や所蔵者を明示するために押される場合もありました。他の人の同じ持ち物と...
今回のコラムは、前回の予告通り、清寧軒焼(せいねいけんやき)に押されたハンコについてご紹介しましょう。清寧軒焼(せいねいけんやき)は、紀伊藩11代藩主の徳川斉順(とくがわなりゆき、1801-46)が焼かせた御庭焼(おにわやき)のことです。その作例の多くには、「清寧(せいねい)」や葵紋(あおいもん)の印が押されていますが、斉順は、天保5年(1832)に和歌山城下の別邸である湊御殿(みなとごてん)が完成する以前にも...
ここ何回かのコラムでは、偕楽園焼(かいらくえんやき)や楽旦入(らくたんにゅう)のハンコなど、やきものに押されたハンコについて取り上げていますが、やきものに押されたハンコの名称は、書や絵に押されたハンコの名称と異なり、人によって名称がまちまちだったりします。そこで、今回の「ハンコの基礎知識」は、やきものに押されたハンコの名称について、少し確認しておきたいと思います。やきものに押されたハンコは、たいて...
今回のコラムは、前回のコラムにひきつづき、やきものに押されたハンコとして楽旦入(らくたんにゅう)のハンコについてご紹介しましょう。京都の楽焼(らくやき)というやきものを焼いた陶工である楽家の10代目にあたる楽旦入(らくたんにゅう、1795-1854)は、文政2年(1819)に、紀伊藩10代藩主の徳川治宝(とくがわはるとみ、1771-1852)が御庭焼(おにわやき)の偕楽園焼(かいらくえんやき)をはじめるにあたり、表千家9代の...
今回の「ハンコの基礎知識」は、ハンコの周囲のかざりについて見ていきたいと思います。ハンコの周囲には、輪郭のような「わく」があるものがあります。とくに、陽文のハンコは、文字の周囲をへこませるため、通常、ハンコの周囲の輪郭を飛び出させて「わく」とします。この「わく」を「郭(かく)」と呼びます。 野呂介于使用印「隆忠」(陽文楕円印)「郭」には、かざりがつけられることがありました。最も簡単なかざりは、「郭」をもう...
今回の「ハンコの基礎知識」は、前回の予告通り、ハンコの形と呼び方について見ていきたいと思います。ハンコには、さまざまな形がありますが、基本的には、押されたハンコ(印影(いんえい))の形によって呼ばれることが大半です。こうした印影の形に基づくハンコの呼び方を知っておくと、ハンコの名前を見たり、調べたりする際に、とても便利です。また、押される場所や用途によって、ある程度、ハンコの形が決まっているものも...
本日、1月7日は、企画展「ハンコって何?」の3回目のミュージアムトーク(展示解説)がおこなわれました。風の冷たい日でしたが、7名の方にご参加いただきました。トークの風景はこんな感じです。 新年早々、ご参加いただいた皆さま、お忙しい中、本当にありがとうございました。今日のトークでは、ハンコの制作者である篆刻家(てんこくか)や篆刻家がハンコの側面に彫った銘文である側款(そっかん)についてのご質問がいくつ...
今回のコラムは、紀伊藩10代藩主の徳川治宝(とくがわはるとみ、1771-1852)が焼かせた偕楽園焼(かいらくえんやき)に押されたハンコについてご紹介しましょう。ハンコは、現在でも自署の証明として押されますが、それと同じ意味で、芸術作品などの制作者がみずからの作であることを証明するという役割も担っていました。書や絵のみならず、工芸の分野でも、ハンコは制作者を示す証拠となりました。とくに陶磁器では、同じ文字や...
年末年始をはさんで、少し間があいてしまいましたが、今回の「ハンコの基礎知識」は、前回の予告通り、ハンコの文字を読む順番についてご紹介したいと思います。ハンコの中にあらわされている文字は、文章になっています。長い文章も、短い文章もありますが、文章なので読む順番があります。普通のハンコは、縦書きのように、右上から右下、左上から左下へ読んでいきます。これまでにご紹介したハンコを見ながら、復習してみましょ...
新年明けましておめでとうございます。本年も、和歌山県立博物館を、どうぞよろしくお願いいたします。さて、新しい年を迎えましたが、昨年より開催中の「ハンコって何?」展は、もう少し開催中(1月22日(日)まで)です。今日は、新年1回目の博物館ニュースということで、今年の干支(えと)である辰年にちなんで、「ハンコって何?」展で公開中の竜の絵と竜のハンコについてご紹介しましょう。 竜図 徳川治宝筆 長保寺蔵これ...