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「和歌山県の核となる新時代の博物館づくり事業」報告

【事業名称】
「和歌山県の核となる新時代の博物館づくり事業」
(平成28年度文化庁「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」採択)

【事業主体】
 和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会(委員長:伊東史朗)
 事業協力:歴史資料保全ネット・和歌山(実行委員会構成団体)、和歌山県立博物館友の会(実行委員会構成団体)、和歌山県博物館施設等災害対策連絡会議、和歌山県立和歌山工業高等学校、和歌山県立和歌山盲学校ほか

【事業目的】
 本事業では、新時代の博物館における機能のあり方を実践的に検討することで、地域における高度な課題に対応する地域の核となる博物館づくりを進めました。
 「携帯端末を用いた展示解説システム開発事業」では既存の館保有データと汎用的なアプリケーションを活用した、簡便に情報の更新や追加を行える展示解説システムの開発を行うことができました。
 「地域に眠る「災害の記憶」と文化遺産を発掘・共有・継承する事業」では、過去の「災害の記憶」を地域全体で共有し、継承していくことで、将来起こりうるであろう東南海・南海地震に対し、地域住民が自らの生命と財産を守っていく活動を支援する取り組みを行いました。調査対象地域において15回の調査を行い、調査報告書の作成、画像データの収集を行って、災害時に被災した文化財を保全する活動がより円滑に進められるようになったといえます。調査対象地域の住民に対しては、小冊子『先人たちが残してくれた「災害の記憶」を未来に伝えるⅢ』を配布し、現地学習会「歴史から学ぶ防災2016 -命と文化遺産を守る-」を開催し、情報の共有化を図ることができました。
 「さわれる資料による文化財の保存・活用と博物館のユニバーサルデザイン化事業」では、視覚に障害のある人の博物館利用促進のため、和歌山県立和歌山工業高等学校・和歌山県立和歌山盲学校と連携し、さわれるレプリカとさわって読む図録を作製し、誰もがレプリカや図録を通して楽しく学べる博物館のユニバーサルデザイン化を進めました。また過疎地域所在の文化財の盗難・減災害対策としてる重要資料を県立博物館で保管するとともに、そのレプリカを作成して所蔵者へ提供し、伝来地域の環境変化を最小限に留めながら文化財を保存する方法を構築しました。どちらも実際的な効果の期待される先進的な取り組みであり、広報効果も高かったといえます。
 このように本事業で行った3つの事業については、博物館内においては利用者のユーザビリティーを高め、かつ視覚障害者の利用促進を図ることができ、博物館外においては博物館がハブとなって地域・人・諸機関をつなげる先進的な資料保全のあり方を構築することができたものと考えています。

【事業内容と実績報告】
1、携帯端末を用いた展示解説システム開発事業
 本事業においては、和歌山県立博物館において現在展示している常設展「きのくにの歩み−人びとの生活と文化−」の構成をもとに携帯端末により展示鑑賞のサポートを行う鑑賞支援ツールを制作しました。テキスト・画像・音声のデータは、これまで和歌山県立博物館が行ってきた活動の中で蓄積されたものを利用し、データ入力・更新作業は、館職員が行うもので、館内に整備済みのWi-Fi環境を活用しています。
 効果としては、既存の館保有データ(テキスト・画像・音声)を活用し、また汎用的なアプリケーションを活用することによって、比較的簡便に展示解説システムを開発することができたこと、利用者にとっては個人の携帯端末で展示コーナーごとに、任意の解説情報(テキスト・画像・音声)を引き出すことができ、また携帯端末を持たない利用者には、展示室据付タブレットや貸出用タブレットにより、活用することができるようにしたことを挙げられます。データ管理用のサーバでは、館職員が任意で情報データの加除をできるようにしているため、昨年度に整備した外国語(英語・中国語・韓国語)のデータを加えることも可能です。今後、来館者の利用状況・反応を見ながら、利用促進の手法を検討することが必要と考えています。
展示解説システム1 - コピー操作用端末
展示解説システム2 - コピー常設展示室設置状況

2、地域に眠る「災害の記憶」と文化遺産を発掘・共有・継承する事業
 歴史資料保全ネット・わかやま(民間ボランティア組織)、和歌山県内の博物館施設等で構成される和歌山県博物館施設等災害対策連絡会議、東南海・南海地震に伴う津波被害が想定される市町村の防災担当部局・教育委員会、自主防災組織などと連携し、過去の「災害の記憶」を地域全体で共有し、継承していくことで、将来起こりうるであろう東南海・南海地震に対し、地域住民が自らの生命と財産を守っていく活動を支援する取り組みを行いました。同時に被災という事態を想定し、被災した文化財を保全する活動の前提となる被害想定地域の文化財の所在確認調査を行いました。また、かつて被害想定地域に所在し、現在神奈川大学日本常民文化研究所所蔵となった資料が存在していることから、それらの資料の所在確認を行い、写真撮影を行いました。なお調査対象地域は印南町・由良町でした。
 調査対象地域において15回の調査を行い、調査報告書の作成(県立博物館・文化遺産課・県立文書館と地元教育委員会で情報共有)と画像データの収集(県立博物館・文化遺産課・県立文書館で共有)を行いました。これによって、災害時に被災した文化財を保全する活動がより円滑に進められるようになっています。調査対象地域の住民に対しては、小冊子『先人たちが残してくれた「災害の記憶」を未来に伝えるⅢ』(平成29年1月17日発行、1万冊)と現地学習会「歴史から学ぶ防災2016 -命と文化遺産を守る-」のチラシ(1万2千枚)を、関係自治体の協力を得て、調査対象地域の全戸と県内の関係機関に配布しました(小冊子については和歌山県博ホームページからもダウンロード可能)。また印南町と由良町で、「災害の記憶」の発掘と文化遺産の所在確認調査で明らかになった内容を住民に伝える現地学習会を実施しました(印南町は平成29年2月25日参加者75人、由良町は同年2月26日参加者94人)。参加者を対象に行ったアンケート調査から、発掘した「災害の記憶」について、詳しく知らない参加者が印南町で7~8割以上、由良町では9割以上いることが明らかになり、今回の事業に大きな効果があったことが確認できました。また、かつて被害想定地域に所在し、現在神奈川大学日本常民文化研究所(横浜市)の所蔵となっている資料が存在していることから、常民研での所在確認調査も実施し、目録作成と写真撮影を行いました。
20160830現地調査(印南町、西岸寺谷)DSCN1761現地調査(印南町・西岸寺谷)2016年8月30日
20161007現地資料調査(印南町、印定寺)PA070596現地調査(印南町・印定寺)2016年10月7日
20161121検討会議(和歌山県博)DSCN3445検討会議(於和歌山県博)2016年11月21日
20161203現地資料調査(由良町、衣奈八幡神社)DSCN2345現地資料調査(由良町・衣奈八幡神社)2016年12月3日
20170115現地聞き取り調査(由良町、由良町役場)DSCN3157現地聞き取り調査(由良町役場)2017年1月15日
20170125現地聞き取り調査(由良町、由良町公民館)IMG_3710現地聞き取り調査(印南町公民館)2017年1月25日
20170225現地学習会(印南町、報告)IMG_4367現地学習会(印南町・報告)2017年2月25日
20170225現地学習会(印南町、ワークショップ)IMG_4460現地学習会(印南町・ワークショップ)2017年2月25日
20170226現地学習会(由良町、報告)IMG_4629現地学習会(由良町・報告)2017年2月26日
20170226現地学習会(由良町、ワークショップ)IMG_4686現地学習会(由良町・ワークショップ)2017年2月26日
20170313~0317常民研調査(横浜市)P3172721神奈川大学日本常民文化研究所所蔵資料調査1 2017年3月13日~17日
20170313~0317常民研調査(横浜市)P3172728神奈川大学日本常民文化研究所所蔵資料調査2 2017年3月13日~17日

3、さわれる資料による文化財の保存・活用と博物館のユニバーサルデザイン化事業
 本事業では、視覚に障害のある人の博物館利用促進のため、和歌山県立和歌山工業高等学校・和歌山県立和歌山盲学校と連携し、さわれるレプリカとさわって読む図録を作製し、誰もがレプリカや図録を通して楽しく学べる博物館のユニバーサルデザイン化を進めました。また和歌山県内所在の文化財のうち、盗難や災害等で被害を受ける可能性のある重要資料を県立博物館で保管するとともに、そのレプリカを作成して所蔵者へ提供し、伝来地域の環境変化を最小限に留めながら文化財を保存する方法を構築しました。
 平成28年度は県立和歌山工業高等学校との連携により、紀の川市横谷区茶所所蔵仏頭、高野町花坂観音堂所蔵阿弥陀如来坐像の文化財レプリカを作製(着色は和歌山大学学生が担当)、それぞれ実物は博物館で保管して、現地にレプリカを安置しました。盗難や災害の被害から文化財を守りながら、信仰環境の変化を少なくする取り組みで、被提供者からは「末永く大切にしたい」等の意見があり、顕著な防犯、防災効果がありました。またこの2つの作品を含む7体の仏像を素材として、県立和歌山盲学校との連携でさわって読む図録『さわって学ぶ 仏像の基礎知識』を作製しました。難解になりがちな内容を平易化し、視覚障害者の郷土学習、美術学習の教材とした。近畿盲学校、主要点字図書館ほかでの活用を図る。全盲の利用者から「仏像のかたちの違いが分かった」などといった意見があり、さわれる絵による学習効果が確かめられた。またこの図録に掲載したものと同じさわれる文化財レプリカ7体を展示するロビー展「さわって学ぶ 仏像の基礎知識」(平成29年3月28日~6月4日)も開催、会期後も常時展示公開を予定しています。資料の形を直接体感することで視覚障害者が情報にアクセスする手段として高い効果があり、かつ誰もが公平かつ柔軟に楽しめ、破損による影響も少なく、博物館展示のユニバーサルデザイン化を促進させる効果がありました。
PB040076 - コピーレプリカ作製のようす
花坂観音堂阿弥陀如来坐像(左実物・右レプリカ) - コピー作製した花坂観音堂の阿弥陀如来坐像レプリカ(左:実物、右:レプリカ)
P2070231 - コピー文化財レプリカの現地奉納〔防犯対策)2017年2月7日
DSC_0399 - コピーさわって読む図録『さわって学ぶ 仏像の基礎知識』
DSC_0397 - コピーロビー展「さわって学ぶ 仏像の基礎知識」のようす

ロビー展「さわって学ぶ 仏像の基礎知識」(平成29年3月28日~6月4日)

ロビー展 さわって学ぶ 仏像の基礎知識
(平成29年3月28日~6月4日)

 和歌山県立博物館では、視覚に障害のある方に対して施設利用の促進と情報の共有化を図るため、平成22年(2010)から、和歌山県立和歌山工業高等学校との連携による3Dプリンターを活用したさわれる文化財レプリカ作りと、和歌山県立和歌山盲学校との連携による特殊な透明盛り上げ印刷によるさわって読む図録作りを、継続して行っています。
 平成27年度には、新たにさわれる文化財レプリカを2点(紀の川市・横谷区茶所所蔵の仏頭、高野町・花坂観音堂所蔵の阿弥陀如来坐像)と、さわって読む図録『さわって学ぶ 仏像の基礎知識』を作成いたしました。今回のロビー展では、このさわって読む図録の内容に基づき、先の2点を含む7体の仏像のさわれるレプリカを展示して、魅力あふれる和歌山県の仏像を身近に感じていただくための基礎知識をご紹介します。
 またあわせて、これら文化財レプリカを「お身代わり」仏像として活用した、和歌山県内における文化財防犯の取り組みについてもご紹介します。
※展示資料:紀の川市薬師寺薬師如来坐像、海南市海雲寺釈迦如来坐像、紀の川市林ヶ峯観音寺菩薩形坐像、田辺市滝尻王子宮十郷神社滝尻金剛童子立像、紀の川市円福寺愛染明王立像、高野町花坂観音堂阿弥陀如来坐像、紀の川市横谷区茶所仏頭の、それぞれさわれる文化財レプリカ。
20170320152444_00001 - コピー
さわって読む図録『さわって学ぶ 仏像の基礎知識』表紙
花坂観音堂阿弥陀如来坐像(左実物・右レプリカ)
花坂観音堂の阿弥陀如来坐像(左:実物/右:複製) 平成28年度製作
PB040076 - コピー
和歌山県立和歌山工業高等学校でのレプリカ製作のようす(3次元デジタイザによるデータ計測)

◎さわって読む図録『さわって学ぶ 仏像の基礎知識』は、県立和歌山盲学校のほか、和歌山点字図書館をはじめとする県内すべての公共図書館に寄贈し、活用を図ります。
◎和歌山県立博物館におけるさわれる文化財レプリカとさわって読む図録制作の取り組みについては、内閣府平成26年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰において、博物館展示の ユニバーサルデザイン化を推進するものとして、内閣総理大臣表彰を受賞しています。

主  催 和歌山県立博物館
製作協力 和歌山県立和歌山工業高等学校・和歌山県立和歌山盲学校
会  期 平成29年(2017) 3月28日(火)~6月4日(日) 
会  場 和歌山県立博物館エントランスホール
開館時間 午前9時30分~午後5時
休 館 日 毎週月曜日
利 用 料 ロビー展は無料 (常設展・企画展・特別展の観覧に際しては入館料が必要ですが、ただし、高校生以下・65歳以上・障害者の方は無料)。


熊野水軍のさとシンポジウム「列島の中の熊野水軍」が開催されました

3月11日(土) 和歌山県立近代美術館2階ホールにて、
白浜町教育委員会主催による熊野水軍のさとシンポジウム「列島の中の熊野水軍」が開催されました。
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まず最初に、安宅荘中世城郭発掘調査委員会の
副委員長である高橋修さん(茨城大学文学部教授)から、
開会挨拶と趣旨説明をしていただきました。
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次に記念講演として、東京大学史料編纂所の黒嶋敏さんに
「「熊野水軍からみた中世後期の『列島再編』」と題してお話いただきました。
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 黒嶋さんの近著『海の武士団-水軍と海賊のあいだ-』で取り上げられた「海の勢力」論にはじまり、
内乱の時代である室町・戦国期に熊野水軍の組織的な水軍活動がみられなくなるのはなぜか、
といった課題を、紀伊半島を海の道として捉えて考えてみる、という趣旨でお話いただきました。
「明徳記」などを素材に、室町幕府の成立が紀伊半島の流通に与えた影響について、
東国との関係など潮岬ルートの断絶(紀伊半島の東西化)の問題に触れてていただきました。
中世の日本列島全体の流通構造のなかでの熊野(紀伊半島)の位置を知ることができる、
非常に興味深い内容のご講演だったように思います。


その後、安宅荘中世城郭発掘調査委員会の委員による3本の基調報告を行いました。
基調報告①として、和歌山市文化スポーツ振興財団の北野隆亮さんに、
「備前焼からみた安宅荘中世城館群-要害山城跡出土資料を中心に-」
と題して報告いただきました。
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 岡山県伊部に生産地がある備前焼について、
和歌山県内遺跡の出土事例から備前焼の流通状況を概観。
要害山城跡の遺物や長寿寺大甕などを素材に、日置川流域が備前焼流通の商圏拡大の場であり、
なおかつ流通拠点であったことを紹介され、
日置川流域と瀬戸内海との関係について触れてただきました。

基調報告②として、当館学芸員坂本が、
「熊野水軍の古文書-小山家文書の世界-」と題して報告しました。
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 企画展「躍動する紀南武士-安宅氏と小山氏-」の紹介を中心に、
山間部(日置川中流域)に拠点を有する小山氏が残した小山家文書の魅力と可能性を紹介しました。
特に、日置川中流の三箇荘に拠点をもちながらも、紀伊水道をまたにかけ、
山林資源の管理をする紀南の水軍領主のあり方について触れました。

基調報告③として、白浜町教育委員会佐藤純一さんに、
「安宅荘中世城館群の現在-これからの保全と活用-」と題して報告いただきました。
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 中世安宅荘城郭群のこれまでの調査(発掘調査・遺構確認調査)と
その成果の概要を紹介していただき、今後の保全と活用について、
民泊事業との関連などの様々な取り組みについても触れていただきました。


最後に、和歌山城郭調査研究会の白石博則さんをコーディネーターとして
黒嶋さんと基調報告の3名でパネルディスカッションを行いました。
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 会場からの質問も受けつつ、熊野の水軍領主としての特徴は何か?
といったテーマなどを討論しました。
水軍領主は複数の拠点をもち移動しつつ活動するのが基本的な姿であるとのご意見もあり、
日置川流域に拠点をもつ安宅氏や小山氏などは、
山「も」(海も)活動の舞台とするとするところに大きな特徴があることなどが改めて確認されました。
また中世安宅荘城郭群も、
山林の資源と海との両方をおさえる場所に拠点を築いていることが重要であり、
他の水軍領主にはない大きな特徴なのではないか(ほかに類例は見当たらない)、
というご意見もいただきました。

日本列島(をめぐる流通構造)のなかで、熊野水軍はどのような位置にあったのか、
熊野の水軍領主はどのような性格をもっていたのか、
ほかの水軍領主との比較のうえでも、見えてきたように思います。

最後に、白浜町教育委員会の鈴木勇教育長による閉会の挨拶で、終了しました。
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非常に多くのかたに来ていただきました。ありがとうございました。

(学芸員 坂本亮太)

2月26日由良町で現地学習会が開催されました。

 2月26日(日)13時30分から由良町中央公民館で、現地学習会「歴史から学ぶ防災2016-命と文化遺産とを守る-」が開催され、94人の参加がありました。

IMG_4617(研修会)

 司会は、和歌山大学紀州経済史文化史研究所特任准教授の吉村旭輝さんにお願いしました。

IMG_4613(司会吉村さん)

 まず、主催者を代表して、当館の苗代副館長が開会の挨拶を行いました。

IMG_4615(苗代副館長)

 続いて、5人の方々に報告をおこなっていただきました。
 由良町文化財保護審議会委員長大野治さんの「由良町の地震・津波の記録と遺跡」の報告では、まず記録に残る由良町を襲った地震・津波についてお話しいただきました。そのうえで、安政地震津波については記録に記された痕跡を示す遺跡・供養墓などを紹介していただき、昭和南海地震津波については、聞き取り調査に基づく浸水被害の状況を具体的にお話しいただきました。

IMG_4622(大野さん)

 由良町文化財保護審議会委員小出潔さんの「津波と船」の報告では、安政地震津波を中心に、当時日本近海に出現した外国船の問題とも絡ませてお話しいただきました。さらに、現在の印南町出身で医者の羽山大学が記した詳細な津波被害状況などを記した記録も紹介していただきました。。

IMG_4624(小出さん)

 神戸大学大学院人文学研究科特命講師木村修二さんの「由良町の安政地震津波記録の諸本」の報告では、まず日本で起こった過去の地震津波の記録がどのような形で活字化されているかを紹介していただきました。そのうえで、由良町域に残る安政地震津波の記録が紹介され、われわれはそうした記録を残していくとともに、その内容を理解するために、現代語訳などをおこなっていく必要があるとお話しいただきました。

IMG_4638(木村さん)

 和歌山県教育庁文化遺産課副主査三本周作さんの「浄土真宗寺院の文化遺産-由良町内の寺院を例に-」の報告では、由良町域の海岸部を中心に浄土真宗が広まっていった背景をお話しいただきました。そのうえで、日々お寺で礼拝の対象となっているご尊像がどのような背景で祭られるようになったかをお話しいただき、ご尊像が具体的に制作された事情を大引の浄明寺を例にお話しいただきました。

IMG_4651(三本さん)

 歴史資料保全ネット・わかやま会員浜田拓志さんの「文化遺産を未来に伝える-由良町における町誌資料と民俗資料等の実践-」の報告では、過疎化や郷土意識の希薄などが要因となって、地域に残る文化遺産が散逸・消失していく危機があるなかで、由良町誌編さんが一つのきっかけになり、編さん事業が完了したのちも大野治氏や由良町教育委員会が中心となって、地域の文化遺産を整理し、空き教室に保管して行こうとする取り組みが行われていることを紹介されました。
                    
IMG_4655(浜田さん)

 最後に、ご後援をしていただきました由良町教育委員会の寒川正美教育長様から、閉会の挨拶を兼ねて、今回の学習会の感想をお話しいただきました。

IMG_4668(寒川教育長)

 閉会後、希望者を募って行われたワークショップには9人の方にお集まりいただきました。姫路大学人文学・人権教育研究所准教授松下正和さんの司会のもと、まず今回の学習会の感想をお聞きしました。そのあと、ハザードマップを見ながら、居住地での防災の取り組みなどについて、意見交換をしました。

IMG_4689(ワークショップ)

 由良町、由良町教育委員会のご協力も得て、盛況のうち終わることができました。心からお礼申しあげます。
(主任学芸員 前田正明)

災害記念碑一覧
和歌山県立博物館ウェブサイト

2月25日印南町で現地学習会が開催されました。

 2月25日(土)13時30分から印南町公民館で、現地学習会「歴史から学ぶ防災2016-命と文化遺産とを守る-」が開催され、75人の参加がありました。

IMG_4342(研修会)

 会場入り口では、印南町立印南中学校阪本尚生さんが指導した津波研究班の研究成果をポスター展示していただきました。

R0014057(ポスター展示) R0014061(ポスター展示)

 司会は、和歌山大学紀州経済史文化史研究所特任准教授の吉村さんにお願いしました。

IMG_4363(司会吉村さん)

 まず、主催者を代表して、当館の苗代副館長が開会の挨拶を行いました。

IMG_4336(苗代副館長)

 次に、来賓として、印南町長の日裏勝己様からご祝辞をいただきました。

IMG_4352(日裏町長)

 続いて、6人の方々に報告をおこなっていただきました。
 トップバッターは、印南町立印南中学校津波研究班の現役3年生の辻浦才暉さんと卒業生の和歌山県立日高高等学校2年生濵本尚実さんです。2人による「昭和南海地震の聞き取り調査から」の報告では、まず前半で濵本さんから、これまで津波研究班の活動や印南の災害の歴史などをお話ししていただき、後半は辻浦さんから昨年度と今年度に津波研究班が取り組んだ昭和南海地震体験者11人からの聞き取り調査の方法や内容、調査結果の分析によって明らかになったことをお話しいただきました。

IMG_4378(濵本さんと辻浦さん)

 印南町文化協会会長(語り部)の坂下緋美さんの「紀州印南浦今昔 そして,宝永大地震と角屋甚太郎」の報告では、まず印南というのは和歌山県のなかでどのような位置にあるのかをお話ししていただきました。そのうえで、江戸時代の初めには漁業の先進地であった印南が1707年の宝永地震で壊滅的な被害を受けたが、その後も印南浦の漁民が活躍している様子をお話しいただきました。最後に、昭和南海地震での自らの被災経験をお話しいただき、その後の印南浦の様子を写真や絵で紹介いただきました。

IMG_4398(坂下さん)

 和歌山県立博物館主任学芸員前田正明の「宝永地震津波の記憶を伝える」の報告では、有史以来の最大級といわれる宝永地震津波を取りあげ、印南浦に残る資料から、宝永地震津波の記憶がどのように残され、それがどのように伝えられたのか。さらに147年後に起こる安政地震津波が起こった際に、その記憶が生かされていたのかをお話ししました。

IMG_4415(前田)

 歴史資料保全ネット・わかやま会員砂川佳子さんの「印南浦を襲った幕末の災害」の報告では、印南町印南に残された、安政地震津波の記憶を伝える「かめや板壁書置」の記されている内容などについて、詳しく説明いただきました。そのうえで、この震災遺構(遺産)ともいえる板壁が、その後印南町の人たちによって大切に残されてきたことを紹介していただきました。

IMG_4425(砂川さん)

 姫路大学人文学・人権教育研究所准教授松下正和さんの「災害資料を活かした自主防災活動について」の報告では、「災害の記憶」を伝える津波記念碑の全国調査で明らかになった大津浪記念碑(岩手県宮古市)、大地震両川口津浪記石碑(大阪市)、外所地震供養碑(宮崎市)などを紹介していただき、さらに県内に残されている災害資料が防災活動に生かされている事例なども紹介していただきました。

IMG_4435(松下さん)

 最後に、ご後援をしていただきました印南町教育委員会の岡本徹士教育長様から、閉会の挨拶を兼ねて、今回の学習会の感想をお話しいただきました。

IMG_4440(岡本教育長)

 閉会後、希望者を募って行われたワークショップには24人の方にお集まりいただきました。松下正和さんの司会のもと、まず今回の学習会の感想をお聞きしました。そのあと、ハザードマップを見ながら居住地での防災の取り組みなどについて、意見交換をしました。

IMG_4501(ワークショップ)
                  
 印南町、印南町教育委員会のご協力も得て、盛況のうち終わることができました。心からお礼申しあげます。
(主任学芸員 前田正明)

災害記念碑一覧
和歌山県立博物館ウェブサイト

コラム「日光社と湯川川流域の仏教文化」

コラム「日光社と湯川川流域の仏教文化」
 有田川町最奥の地、有田川町上湯川の日光山(標高1110m)の山中に、江戸時代まで日光社という神社がありました。最も盛えたころには多数の建物があったようですが、明治時代に廃絶し、現在は小さな祠が再建されています。祭られた神様の名前をはじめ不明なことが多い謎の神社ですが、そのかつての景観を示す貴重な資料として日光社参詣曼荼羅(和歌山県指定文化財)が残されています(個人蔵)。
 縦148.7㎝、横117.8㎝の大画面の中央に、瑞垣に囲まれた社殿三棟と二つの堂舎が並び、その外に多宝塔が建っています。上方には三つの山(中央が日光山、右が護摩壇山、左が高野山か)がそびえ、下方には湯川川とその流域の集落や寺社が描かれています。本図については従来、瑞籬内にある複数の建物の正面間口を合計すると12になることを根拠として、熊野十二所権現を祀るという説がありましたが、瑞籬内の左側の建物は本来右下に描かれていたものが切断され現位置に貼られており、作画上のデフォルメを受けており、実際には拝殿や本地堂など社殿以外の建物である可能性が高く、日光社と熊野信仰との関係は切り離して検討すべき段階となっています。一方、その信仰圏として描きこまれている湯川川流域の位置づけの重要性は、より高まっているといえます。
 湯川川流域の上湯川地区と下湯川地区は、古くから日光社の信仰に深く関わっていたと考えられますが、県立博物館がこの二つの地区の文化財調査を行ったところ、上湯川地区の薬王寺、下湯川地区の牛蓮寺、下湯川観音堂に、平安時代の仏像や戦国時代の版木など、重要な資料が残されていることが分かりました。日光社の成立も、平安時代に遡ると考えて良いでしょう。
 そうした新発見資料の一つに注目してみましょう。下湯川観音堂の僧形坐像(室町時代)は、蓮の花の上に合掌した僧が坐る珍しいもので、これは菩薩の集団が練り歩く来迎会で用いられる往生者像に類例があります。「続風土記御調に付書上帳」によれば下湯川観音堂には江戸時代後期の段階で「仏面」「如来面」があり「往古仏之舞経営候節所用之面」と伝えています。現在仮面は一つも残されていませんが、菩薩面の髻と推定される朽損甚大な部品が一点残っており、確かに同堂に行道面が伝えられていたことを証明しています。
 有田川流域では下流域の有田市得生寺で来迎会式が現在も行われていますが、上流域の花園荘でも来迎会が行われていたことが上花園神社の仮面群の存在により分かっています。下湯川観音堂に伝えられた往生者像・髻部品から、湯川川流域においてもかつて来迎会が行われていたことが、新たに判明したのです。しかも、この往生者像は現存最古の作例の可能性があります。
 中世世界を彷彿とさせる文化財や景観を濃厚に伝えている湯川川流域については、このように当地を日光社信仰圏として捉えなおし、さらなる調査とともに、その重要性を広く共有していく必要があると考えています。(主査学芸員 大河内智之)

日光社参詣曼荼羅2017
日光社参詣曼荼羅 個人蔵 和歌山県指定文化財
図3 日光社参詣曼荼羅料紙貼継
日光社参詣曼荼羅の料紙貼り継ぎの状況
往生者像
僧形坐像 下湯川観音堂蔵
下湯川観音堂髻部品
髻部品 下湯川観音堂蔵

和歌山県立博物館企画展「有田川中流域の仏教文化―重要文化財・安楽寺多宝小塔修理完成記念―」(1月21日~3月5日)

花坂観音堂に「お身代わり」仏像(3Dプリンター製)を奉納しました(平成29年2月7日)

 和歌山県立博物館では、和歌山県立和歌山工業高等学校の協力を得て、3Dプリンターを用いた文化財の精巧な複製を制作し、文化財の防犯対策を行っています。これは高齢化や人口減少などの要因により、管理や保全が困難になっている地域の寺社等にある文化財を博物館等で保管し、かつ、信仰されてきた環境も従来通り維持するための取り組みで、平成24年度から28年度までの5年間に、県内9か所の寺社に20体の複製を安置してきました。
 このたび、10か所目(21体目)となる、高野町花坂の花坂観音堂に阿弥陀如来坐像を奉納いたしました。この仏像は昨年11月より製作していたもので、仏像の計測、データ修正、出力を県立和歌山工業高等学校産業デザイン科の生徒8名が担当し、着色作業を和歌山大学教育学部美術教室の学生3名が行いました。
花坂観音堂阿弥陀如来坐像(左実物・右レプリカ)
(左:実物 右:複製)
 花坂観音堂の阿弥陀如来坐像は、現在、江戸時代の修理による彩色に覆われていますが、奥行きが深く背筋が伸びた緊張感ある体型や、体部と両脚部材の接合面を湾曲させる技法など、平安時代中ごろ、10~11世紀に造られたものと考えられます。花坂地域にのこる最古の資料ですが、傷みも大きく、また同堂では平成23年に別の仏像が盗難被害に遭っており(→「盗難被害を受けた花坂観音堂の仏像」)、精巧な複製を制作し、「お身代わり」として安置することとなりました。
 2月7日(火)11時、高野山の中腹に位置する花坂地区に高校生6名と大学生1名が到着。地区の集会所には、区長・副区長をはじめ地区の住民の方々、そして高野町立花坂小学校の全校児童(5名)、高野町教育委員会の教育長ほか職員の皆さんに集まっていただき、今回の奉納の趣旨説明、複製の制作方法を説明したのち、生徒代表から上田前区長(現副区長)に「お身代わり」の仏像が手渡されました。
花坂自治会館贈呈式
 その場を借りて博物館から工業高校生徒への感謝状贈呈を行い、地区住民の皆さんに仏像を間近でご覧いただいたのち、花坂観音堂まで全員で移動して仏像を安置しました。真っ先に、花坂小学校の生徒さんにそばで見てもらい、お線香があげられました。
花坂観音堂奉納
 奉納を終えて、博物館副館長よりご挨拶した後、花坂地区の名物の焼きもちをいただきながら、生徒と住民の方々に交流してもらい、帰途につきました。
P2070259.jpg
 実際に「お身代わり」仏像を作製した生徒・学生と地域住民の方々が交流することで、地域においては複製仏像を受け入れやすくなり、高校生・大学生においては社会とのより深いつながりを感じ、教育効果を高めることにつながるものと考えています。今後も、和歌山県立博物館がハブとしての役割を果たしながら、県立和歌山工業高校、和歌山大学、地域の方々と連携しながら、大切な文化財を継承するための取り組みを続けて参りたいと思います。(主査学芸員 大河内智之)

スポット展示「鹿児島県・日光神社の若い女面」(会期:2月4日~3月5日)

スポット展示「鹿児島県・日光神社の若い女面」
平成29年(2017)2月4日(土)~3月5日(日)

 和歌山県立博物館でただいま開催している企画展「有田川中流域の仏教文化―重要文化財・安楽寺多宝小塔修理完成記念―」(会期:1月21日~3月5日)では、有田川町上湯川の日光山の山中にあって、明治時代に廃絶して今は小祠のみが残る、日光社について紹介しています。
 和歌山県立博物館の収蔵品の中に、面裏に「享禄三年/十一月日/日光神常住/蛭牟田神祇史/光䂓/宇スニク」と記された、「日光神」に奉納された若い女面があります。これは、詩人・教育者・民俗芸能研究者であり、民間仮面の収集に努めた乾武俊氏から、平成27年度に寄贈を受けた227面の仮面のうちの一つです。
 最新の研究では、この銘記にみられる「日光神」については、蛭牟田(ひるむた)氏が神官を務めた鹿児島県曽於市にある日光神社のことを指すことが明らかになっていますが(大河内智之「乾武俊氏の収集仮面について―中世在銘資料の紹介とともに―」(『和歌山県立博物館研究紀要』20、2014年)、それ以前は、和歌山県の日光社の中世の景観を描いた日光社参詣曼荼羅に、神事を行う巫女が象徴的に描かれていることなどから、同社の伝来資料の可能性が検討されてきた経緯があります(乾武俊『能面以前―その基層への往還―』〔私家版、2012年〕、和歌山県立博物館編『高野山麓 祈りのかたち』〔2012年〕)。
 この仮面を寄贈された乾武俊氏は、平成29年1月16日にご逝去されました(享年95歳)。和歌山県の日光社についての展示を行うこの機会に、乾氏追悼の思いを込め、鹿児島県の日光神社よりはるばる伝来した仮面をご紹介します。

 会場:和歌山県立博物館2階学習室スポット展示コーナー
 開館時間:午前9時30分~午後5時
 入館料:無料(ただし、常設展示室・企画展示室へ入室される場合は入館料が必要)
 出陳資料:若い女面(享禄3年〔1530〕) 1面 和歌山県立博物館蔵

曽於市日光神社伝来若い女面 日光神社伝来若い女面面裏
左/若い女面 享禄3年(1530) 和歌山県立博物館蔵
右/若い女面の面裏墨書
 面裏に「享禄三年/十一月日/日光神常住/蛭牟田神祇史/光䂓/宇スニク」と記された若い女面で、蛭牟田(ひるむた)氏が神官を務めた鹿児島県曽於市の日光神社伝来資料。彩色は大きく剝落するが、様式が固定化する以前の中世女面らしい、茫(ぼう)とした、放心したような表情に優れる。神事で使用された可能性がある。 
  
曽於市日光神社
鹿児島県曽於市 日光神社

日光社参詣曼荼羅の巫女
参考:日光社参詣曼荼羅に描かれた巫女





コラム「安楽寺多宝小塔と胎蔵界大日如来坐像-高野山の宗教シンボル-」

コラム「安楽寺多宝小塔と胎蔵界大日如来坐像―高野山の宗教シンボル―」

 有田川町二川の安楽寺に伝来する安楽寺多宝小塔は、総高209.5㎝を計る、南北朝時代(14世紀)に建立された優美な姿を見せる小さな建造物で、重要文化財に指定されています。この塔が納められている収蔵庫の改修にあわせて平成27年度より修理が施され、このたび無事竣工を迎えました。
 修理前の安楽寺多宝小塔の初層部は、正面中央に扉構えがあるのみのシンプルな姿でしたが、修理に伴う調査によって当初は四面に扉構えと連子窓が配されていることが分かり、復元されて建立当初の姿が甦りました。大きな多宝塔をそのまま縮小して細部まで再現している点に大きな特徴があり、初層内部も格天井として、中央には胎蔵界の大日如来坐像が安置されています。
 この塔に安置される大日如来坐像についても、修理に伴って初めて調査が行われ、塔よりも古い、平安時代後期、11世紀に遡る作例と判明しています。総高24.8㎝、宝冠をかぶり、腹前で定印を結んで、蓮台上に坐る姿の胎蔵界大日如来です。蓮台を含む像の全てを檜の一木から彫り出したもので、本来は他の大きな仏像の光背頂部に取り付けられていた仏体であったと考えられ、安楽寺多宝小塔が建立された際に、その本尊として転用されたものです。
 大日如来には、金剛界と胎蔵界の二種類の姿があり、多宝塔本尊としては、その多くで金剛界大日如来像(胸の前で智拳印を結ぶ姿)が選ばれます。ただし高野山上壇上伽藍の大塔の場合は、空海の教義に基づき、胎蔵界の大日如来が選択されています。安楽寺多宝小塔も、この高野山のシンボルとしての大塔を移植するという思想的背景があったのではないかと考えられます。
 有田川町の東半分、旧清水町域の大半を占める阿弖川荘は、長く京都の寂楽寺の荘園でしたが、鎌倉時代末期に高野山領となります。まさに多宝小塔が建立されたのは、その荘園経営が軌道に乗るころのことです。高野山は自らの宗教権力を象徴するシンボルとして、この優美な姿の塔を当地の人々に示したのでしょう。(主査学芸員 大河内智之)

安楽寺多宝小塔 安楽寺蔵 重要文化財安楽寺多宝小塔(修理前)
左/安楽寺多宝小塔(修理後)          右/安楽寺多宝小塔〔修理前)
大日如来坐像(多宝小塔内安置)
胎蔵界大日如来坐像(塔本尊)

企画展「有田川中流域の仏教文化―重要文化財・安楽寺多宝小塔修理完成記念―」について

企画展 有田川中流域の仏教文化
―重要文化財・安楽寺多宝小塔修理完成記念―
平成29年(2017)1月21日(土)~3月5日(日)

 有田川町二川の安楽寺に伝来する安楽寺多宝小塔は、南北朝時代に建立された高さ2m9㎝の小さな塔です。外観、構造ともに屋外の多宝塔を正確に縮小して造られたもので、多宝小塔として日本で唯一、建造物として国の重要文化財に指定されています。平成27年度より修理が行われ、このたび建立当初の姿がよみがえりました。これを記念して、安楽寺多宝小塔を寺外で初めて展示公開します。
 安楽寺多宝小塔が伝わった有田川中流域は、かつて阿弖川荘(あてがわのしょう)とよばれ、京都・寂楽寺(白川寺喜多院)の荘園となった後、鎌倉時代末期以降は高野山の荘園となりました。こうした場に安楽寺多宝小塔が建立された歴史的意義を紐解くとともに、阿弖川荘の各地に伝わる優れた文化財を一堂に展示し、その仏教文化の魅力を紹介します。
※重要文化財1件、和歌山県指定文化財8件、有田川町指定文化財18件を含む、40件約60点の文化財を展示。

入館料 一般 280円(220円) 大学生 170円(140円) ※( )内は20名以上の団体料金。
      ※高校生以下、65歳以上、障害者、県内在学中の外国人留学生は無料。
主催:和歌山県立博物館 協力:(財)和歌山県文化財センター、有田川町教育委員会 後援:有田川町

博物館講座(会場:県立博物館2階学習室)
①「阿弖川荘の仏像と地域史」 2月12日(日) 13:30~15:00  
  講師:大河内智之(主査学芸員)
②「重要文化財安楽寺多宝小塔の保存修理とその成果」 2月18日(土) 13:30~15:00  
  講師:結城啓司氏(公益財団法人和歌山県文化財センター副主査) 
ミュージアムトーク(学芸員による展示解説、各回13:30~14:30)
  日時:1月29日(日)、2月4日(土)、3月4日(土)

有田川中流域の仏教文化チラシ表
有田川中流域の仏教文化チラシ裏

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